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試合帰りの車で、答えを言わなかった

水野 結衣|ジュニア選手の保護者(架空)

水野 結衣|ジュニア選手の保護者(架空)

中学生の娘の競技生活を見守る、という設定の著者。

この著者・会話・事例は創作です。実在の人物や日本SOMA協会の指導実績ではありません。

娘の試合帰り、赤信号で止まるたびに私は助言を増やしていた。「あの場面は先に動けたよね」「次は声を出したら」。娘は窓の外を見たまま「うん」と言う。返事が短いほど、私は説明が足りないと思って話し続けた。

ある日、家に着く直前に娘が言った。「負けたことより、帰りの車が嫌だった」。私は驚いて、「応援したかっただけ」と答えた。その言葉もまた、娘の話を聞く前に自分を守る言葉だった。

翌週、私は車に乗る前に聞いた。「今、試合の話をしたい? 家に着いてからにする?」。娘は「今日は音楽を聴きたい」と答えた。車内では何も学べなかったようで、実は一つ分かった。話す時間を決める権利を、私は娘から奪っていた。

ただ、黙ると決めただけでは、私の聞きたい気持ちは消えなかった。試合の話が始まったときに何を聞き、どこで助言を止めるか。帰宅後の短い会話を通じて、私は自分の順番を作り直した。

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